根の深いハラスメント、モラハラとはどんな状況?

セクハラは性的な嫌がらせ、パワハラは業務上の立場を利用した嫌がらせ、です。
嫌がらせと加害者側に自覚がない場合もありますが、最近では事例が多く知れ渡ってきていることもあり、当該行為については周囲からの監視の目も厳しくなりつつあります。
とはいいつつも、社内ではそうとは指摘しにくい環境や風土が残っている場合もあり、なかなかパワハラ、セクハラ根絶とは行かないのも現状でしょう。

また、この2つの他にモラハラというものもあります。
モラルハラスメントの略ですが、モラルとは常識、倫理といった意味です。
あえて訳すとすると、非常識な行為による嫌がらせとなります。
セクハラ、パワハラも非常識ですが、セクハラ、パワハラも含めて、モラハラと呼ばれることもあり、嫌がらせの中では最悪のものといってもよいかもしれません。

例えば、以下のような行為はモラハラの事例とされています。

あからさまな無視
職場での飲み会(懇親会、送別会など)に自分だけ誘われない
仕事の割り振りが、でたらめ(多すぎたり、少なすぎたり)
仕事についての適正な指示を与えない、質問にも答えてくれない
失敗を何度でも繰り返し、責められる
聞こえるように陰口を叩かれる

これらは、ごく一例です。他にも、身体的特徴の悪口を呼ばれる、或いは好ましくない特徴のあだ名で呼ばれる(デブ、めがねなど)、ことあるごとに人格や物事のやり方を否定される(非常識と言われたり、普通はこうしない)と言われる、などいくらでも事例はあります。

そして、セクハラ、パワハラとの違いとしては、加害者が1人ではなく部署全体、会社全体のように複数で行われるケースもあるということです。
よく見れば、小中学校のいじめとも変わらないようなことが、大人が集まる社会でも行われているのです。

もしかしたら、原因は自分にもあったのかもしれません。
しかし、それでこのような報復行為が行われるのは、非常識と言わざるを得ません。
風土的に弱者を作りたがる環境があったのでしょう。

1人の加害者の行動なら、会社の上司や人事部などに訴えて、改善を促すことも可能だと思います。
しかし、このように根の深いモラハラを改めようと戦うのは、無駄な徒労になりかねません。
戦う気力があるうちに、転職を検討すべきです。
気力がなくなると鬱病など深刻な事態にもなりかねません。

モラハラ会社からスムーズに転職するコツ

モラハラは個人だけが原因でなく、会社風土も大きな要因となっているケースが多々あります。
早々に仕事を辞めて、転職を検討しましょう。
そう決めたなら、退職の段取りです。
恐らくここでも散々嫌味を言われるだろうとは思いますが、極力聞き流して円滑に退職することだけを目標にしましょう。

退職には、会社都合と自己都合があります。
会社のモラハラが原因なので、会社都合にしたいところですが、そこは争わずに自己都合としスムーズに退職することを目指しましょう。
まず、会社はモラハラがあったとは認めません。
認めるくらいの理性が残っていればそんな大人気ない行為をするはずもありません。
認めさせるには、現場の音声録音や、細かな記録などの証拠の積み上げや、それを元にした訴訟が必要になるでしょう。

しかし、そこまでさせて会社都合退職になったとしても、失業手当の待ち期間3ヶ月が猶予期間なしになる程度です。
退職届けは「一身上の都合」として淡々と手続きを行うことを、徹底しましょう。

合わせて、転職先を探す場合の履歴書にも、そのきっかけが勤め先のモラハラであったことは公言しない方がよいでしょう。
本当にモラハラがあったかどうかは、外部からでは、全く判断できません。
一方の言い分だけを信じる訳にもいかないので、面接時点では、「いい加減なことを書いている」とか「理由のはっきりしない退職」とマイナス評価に取られてしまうリスクもあります。

前職で挑戦できなかったこんなことがやりたい、など前向きな退職動機を用意しておく方がベターでしょう。

もし、転職活動に専門のエージェント(リクルート、マイナビなど)を利用するなら、担当の方に相談してみるのもよいでしょう。
モラハラからの退職、転職は経緯を正直に書くことがかえってマイナスになってしまいますが、上手い志望動機の書き方や気分の切り替え方のアドバイスをもらえるかもしれません。

正直な方、真面目な方が我慢して退職、転職と苦労するのは、本当に理不尽なことです。
しかし、理不尽なことを1段高い視点で乗り越えられたなら、それは貴重な胆力を身につけられたということでもあります。

どうかモラハラに屈することなく、自分らしい仕事環境を見つけ出してもらいたいと思います。